あれからどのくらい時が経ったのかな
あの日、わたしに怯え走って逃げた貴方
わたしは言葉が喋れないからあの時この気持ちを伝えられずにいたの
貴方に教えてもらった言葉は今でも覚えているよ
あの日、貴方に残した言葉、教えてくれた「すき」っていう言葉
とても素敵な響きだよね
でもきっと貴方には届いていないよね
あれから、貴方にまた会いたくてあの場所に向かったの
貴方が来るのを待っていたら人間に捕まえられてしまって
ここに閉じ込められてしまったの・・
毎日毎日、人間を楽しませるだけの道具
人間を憎む気持ちで変化しそうな顔
貴方が教えてくれた「すき」って言葉を
ガラスに書き続けて
この思いを忘れないように
毎日過ごしました
そんなある日ね、貴方が現れたの
月日は彼を変えてとっても大きくなっていたのけれど
わたしはすぐに解ったの
笑顔で彼の元に泳ぎ寄りました
彼のいる人ごみの前で水泡になってしまう吐息で必死にガラスを曇らせ
「すき」って書くのだけれど
彼の視線は隣にいる同じ指輪をした女性にばかり向けられていました
二人でわたしを見つめては何か話をして幸せそうに微笑んでいました
わたしも口の動きに合わせ彼との会話に混ざろうとしました でも
わたしと彼の間を仕切る分厚いガラスが「住む世界が違う」
ってあたしに告げるのです
彼の笑顔はあの頃と同じでした
せめて、少しでも、その笑顔を見ていたかったから、おどけ続けました
彼と女性はすぐにどこかにいってしまいました
静まり返った館内
もの音一つしない水の世界
あの時貴方が話してくれた「シンデレラ」のお話
わたしもガラスの靴が欲しい
足がないわたしはシンデレラにはなれないのかな
せめて少しの時間だけでもいいから貴方に
もう一度会いたい
この気持ちを伝えたい・・
あれから一度も現れない貴方を待ちわびるわたし
呼吸をする事もまばたきする事も忘れてしまうほど
貴方に恋をしたの
唯一貴方に会えるのは夢の中だけ
だから瞼を閉じる事にしました
わたしの存在も上に向かい水泡となり消えていくの
せめてこの気持ちだけでも貴方に届かないかな
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